こんにちは。マサコカネヒラです。
ジンジャーという女性ファッション誌を見ていたら面白いエッセイがありました。
育ちについて。そもそも育ちの良い悪いって何なんだろう、と思って考えたことなどをまとめました。
興味のある方はどうぞ。
「育ちが良い」って、どういうこと?
美容家・神崎恵さんのエッセイのタイトルです。
育ちが良いと言われると嬉しい。育ちが悪いと恥ずかしいから悪いと思われないようにしたい。そう思っている人が多いと思う。じゃあ育ちの良し悪しってどういう基準で決まるのか?
どんなに高級な服やバッグで着飾っても、さっと差し出された、ピシッとアイロンがかかった真っ白なハンカチの威力にはかなわない…という感じ、伝わります?
GINGER 2022年11月号 p163
おお、ブランドバッグを買おうとしている私としてはなかなかドキっとする文章だな。
言いたいことは何となくわかる。
- 高級な服やバッグを持つ女→浪費家かも?外見だけで中身がないのかも?
- ハンカチにピシッとアイロンをかける女→細部まで気を配れる人かも?部屋も綺麗かも?
「高級な服やバッグ」「ピシッとアイロンがかかった真っ白なハンカチ」その人の一部分だけを見て、上記のようなイメージを自然と持つ人が多いだろう。
で、本当にイメージ通りの人もいれば、そうでない人もいる。もし、ハンカチにピシッとアイロンをかけている女が実は歩きタバコをしていて、高級な服やバッグを持つ女が実は字がすごくキレイだったら、両者の評価は逆転するだろう。
じゃあ、いつ何時も細部まで身だしなみに気を遣って、言葉遣いやマナーも完璧にしないといけないの!?
そういうわけではないと思う。てかそんな完璧超人はこの世に存在しない。一見完璧キラキラ女子に見えても、どこかで手を抜いてたり、何らかの弱点があるもの。それが人間よ。
ぜーんぶ完璧にこなす人はいない。けど、みんなそれぞれの「こだわりポイント」を持っていて、それが「その人らしさ」を作っている。
- 外見を磨きたい
- 良い物を持って長く使いたい
- 美しい言葉で話したい
- 教養を身につけたい
- バリバリ働きたい
- ゆったり生きたい などなど
メジャーな項目は一通りこだわりたい人もいるし、一番大事なこだわりポイント以外は割とどうでもいい人もいる。
冒頭に出てきた高級な服やバッグ、ピシッとアイロンをかけたハンカチも、その人なりのこだわりポイントなのかもしれない。こだわりがない、というこだわりがある人もいるかもしれない。
人の数だけ価値観があり、そこに上下関係はない、はず。さすがに犯罪を肯定するとか、大多数に迷惑をかけるような価値観はダメだけど。
その人なりの価値観(こだわりポイント)が垣間見えたとき、見た人がそれを好ましいと思うか、好ましくないと思うか。それが育ちが良いか悪いかという評価につながっているのではないかと思った。
「育ちが良い・悪い」という評価は、その人の一部を見て他人が勝手に「好ましい・好ましくない」と評価しているだけなのだ。
そう考えると、人の一部分だけを見て「育ちが悪い」と判断するのはいかがなものか。こだわりポイントが自分とずれていて、それを「好ましくない」と思っただけのこと。
「好ましくない」をすぐさま「育ちが悪い」と変換する人は、
自分が正しくて相手が間違っている
自分が上で相手が下
と思っていることになる。
あの人は育ちが悪い、ではなくて「あの人とは価値観が違う」なんじゃないのか。
私も聖人ではないから、他人の行動を見て「うわっ」と思うこともある。でも、それについて何か発言する前に一度考えたい。これは批判すべき悪行なのか、それともただ価値観が違うだけなのかを。
9~10割の人が「好ましい」と思うこだわりポイントは、いずれ常識、マナーと呼ばれるようになっていく。それらを学ぶことは大切だ。人に好印象を与えるのは生きる上で何かとメリットが多いからだ。
しかし、常識、マナーを学んだ人が、学んでいない(知らない)人に対して「あなたは間違っているからこうあるべき」と価値観を押し付けるのはなぜか美しくない。「好ましい」と思われるために懸命に学んだ結果、「自分は正しい」という自信がつく。しかし「自分は正しい」があまりに強くなった姿は「好ましくない」。まあ、それも私の価値観なわけだけれど。
学んだこと、正しいと思っていることは自分の中の美学として大切に持っておき、他人にはある程度寛容でいる。これくらいのバランスがちょうどいいのかな、と思った。
歩き方や佇まい、視線や姿勢、ちょっとした所作、発する言葉や語尾。
GINGER 2022年11月号 p163
あらゆるものに、「心地よい空気を纏う」人。
それが、育ちのいい人なのではないかと私は思うのです。
「心地よい空気を纏う」人。この表現好きだなぁ。
心地よい空気は纏うことができる。つまり後天的に身につけることができるのだ。
まずはマナーや常識。それらを知ることで、心地よい(好ましい)と思ってもらえる可能性がぐっと高くなる。マナーは誰でも後天的に身につけられる武器だ。
しかし、マナーに則って練り上げたお手本のようなスピーチよりも、少し砕けた言い方になっても自分が思っていることをストレートに出したスピーチの方が聞き手に良い印象を与えるように、常に完璧なマナーが求められているわけではない。素晴らしい武器も、使い方を考えないと意味がない。
マナーを身につけ、相手を思いやり、TPOに合った心地よい空気を纏える人が最強だ。といっても、全員が最強になることはできないし、なれなくていいと思う。そもそも、心地よいと感じる空気は人によって違うから、全場面で全員から心地よいと思われる人なんていないよ。
「育ちがいい人」という他人からの評価を目指して全力で頑張ってもいいし、自分がこだわりたいポイントだけ頑張ってもいい。別に頑張らなくてもいいんじゃないかな、頑張らない空気感が心地よい人もいるだろうし…。
ここまで色々書いてきたのに、結論が「みんな好きに生きたらいい」になってしまった。でも、本当に好きに生きたらいいと思う。育ちが良いと思われると嬉しいしメリットも多いけど、それにこだわりすぎなくてもいいんじゃないかな、と思う。もちろん徹底的にこだわりたい人はこだわって!
というわけで、私は高級なブランドバッグを買うし、ハンカチにアイロンはかけない。「好ましくない」と思われてもいい。これが私の美学だ。
おわり。
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